議会報告ASSEMBLY REPORT
2011.09.29 カテゴリ:平成22年9月定例県議会(第299回) 09月24日-05号
◆三十九番(小泉米造) (登壇)議長のお許しを得まして、早速一般質問に入ります、自由民主党改革の小泉米造でございます。よろしくお願いします。
まず、リニア中央新幹線のルートやリニア奈良駅の設置について、知事にお伺いをいたします。
昨年私は、JR東海の葛西会長の講演を拝聴する機会を得ました。葛西会長は、国鉄の分割民営化が行われた昭和六十二年四月以降、JR東海が実践してきた東海道新幹線を持続的、発展的に運営するための経営戦略や、旧国鉄債務を返済するといった社会的使命等について熱く語られておりました。また、十九世紀は鉄道の時代で、全国でも七十五万キロメートルを超える鉄道が建設されました。続く二十世紀は、航空と自動車の時代であった。そして、二十一世紀は超電導リニアが交通機関の新しいスタイルとなるだろうと語られておりました。
リニア中央新幹線につきましては、昭和四十八年十一月に、全国新幹線鉄道整備法に基づく基本計画において、奈良市付近を経由することが決定され、以来四十年近い歳月が経過しております。この間県においては、リニア中央新幹線建設促進の推進母体である奈良県期成同盟会を組織し、東京-大阪間の早期全線整備の実現やリニア奈良駅の設置に向けて鋭意努力をいただいているところであります。また、県議会においても平成元年に、リニア中央新幹線の建設促進と奈良駅設置に関する意見書を国に提出したところであります。現在国においては、交通政策審議会の場において、整備計画の決定等、次のステップに向けた審議が行われております。
知事は、本年七月に開催されたこの交通政策審議会の場で、リニアに対する考えを述べておられたところであります。中でもリニアルートや駅の位置、駅の構造等の決定に当たっては、地方公共団体の意見を適切に反映させる仕組みが必要であり、また、二千二百億円とも言われている地下駅の設置費用についても、地元の地方公共団体が全額負担するのではなく、地域の受益の範囲内の負担とすべきであるとの意見には、私としても全く同感する次第であります。JR東海では、東京-名古屋間の開業目標を平成三十九年、そして大阪までが平成五十七年と設定しており、夢のプロジェクトと思われていたリニア中央新幹線が、少しずつではありますけれども、確実に実現に近づいているなと実感すると同時に、一刻も早い全線整備と奈良駅の設置に大きな期待を寄せているところであります。
そこで、知事にお伺いします。今後、具体化が進むリニア中央新幹線について、そのルートや奈良駅の設置等についてどのようなお考えをお持ちなのか、所見をお示し願いたいと思います。
次に、中国からの観光客の誘致に向けた取り組みについてお尋ねをいたします。
沖縄県尖閣諸島の日本領海での中国の漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した事件をきっかけとして、日中関係が多少ぎくしゃくしている状況の中、アメリカや中国、オーストラリアなど二十一の国・地域が参加し、観光産業を通じた経済発展等を討議するAPEC観光大臣会合が無事開催できたことは、本当によかったと思っております。しかし、この事件に関連しては、中国企業が一万人の訪日旅行をキャンセルするなど、中国人の日本観光ブームに水を差すような出来事も起こっております。いずれ正常化するものと思いますけれども、早期に事態が好転することを期待しながら、質問に移ります。
現在、観光庁においては、訪日外国人観光客数を将来的に三千万人、その第一期として二〇一三年までに一千五百万人を目標に、外国人観光客誘致に取り組んでおられます。そのような中、ことしの七月には、富裕層に限定されていた中国人への個人観光ビザの発給要件が緩和され、対象世帯が約百六十万世帯、四百万人から、約一千六百万世帯、四千万人になり、より多くの中国人観光客の訪日が見込まれているわけであります。テレビ、新聞などのメディア関係も連日、各府県の中国人観光客誘致への取り組み状況を報道しており、最近では、日本へやってきた中国人観光客が、旅行期間中に日本国内で人間ドッグを受診し、結果が出るまでの期間に観光してもらうという、医療と観光をあわせた医療観光という新しい観光の形態も生まれているところであります。
奈良県においても、知事は平成二十年一月と十一月の二回にわたり、約五十人のミッション団を組織し、中国へトッププロモーションを展開されました。その後も、民間事業者を中心とした官民一体となったプロモーション活動を年一回程度展開されていると聞いております。また、開催中の上海国際博覧会には奈良県としても出展され、一週間で約六万二千人の来場者があり、一定の成果が出たと聞いております。一方、現在の中国人の日本での観光は、いわゆるゴールデンルートと言われる、大阪を起点として京都、富士山、箱根の温泉、東京での買物というルートが主流となっており、まだ奈良は観光地として中国人観光客の間に浸透していないように見受けられます。奈良県では、遣隋使、遣唐使の時代から、中国との交流が盛んで、特に中国から来日し、唐招提寺を建立した鑑真は、中国の教科書にも登場すると聞いております。このように、中国とのゆかりというものが奈良県にはたくさん残っています。また、中国人が特に好むと言われている温泉についても、県内には豊富に存在しております。これらの観光資源を中国人観光客の誘致に一層活用すべきではないかと考えております。
そこで、知事にお尋ねいたします。現在奈良県においては、中国人観光客誘致に対しどのような取り組みを行われているのか。また、中国人のニーズに合った仕組みづくりとか、魅力ある観光商品化のため、今後どのように展開していこうとされているのか、知事のお考えをお伺いいたします。
次に、高齢者の日常生活、とりわけ買物の支援についてお伺いいたします。
衣食住は、すべての国民が健康で文化的な生活を営む上で最低限の権利であります。衣食住の一つでも欠ける人がいると、それを保障してあげる行政の責務があります。衣食住のうち、それを満たす買物ができないと困っている高齢者が増えてきている事態が起きております。経済産業省がことしの五月に発表した報告書によりますと、全国で約六百万人の高齢者が買物難民として日常の買物が不自由になっているという結果が明らかになりました。
また、県でも昨年度、今後の高齢者福祉行政を展開する上での基礎資料とすることを目的に、高齢者の生活・介護等に関する実態調査を実施されました。その中で、六十五歳以上の高齢者の方に外出目的について聞いたところ、七〇・三%もの方が買物と答えておられます。一方、家事についての将来の不安について調べた結果を見ますと、二人に一人の五四%の方が、日常の買物に将来の不安を感じると答えておられます。高齢者の方々は、日常生活において買物が最も重要であるとともに、将来の不安も大きいということが明らかになっております。
高齢者の方に限らず、買物に対しては不安を感じるようになった要因として、身近に買物をする場所が日に日に減っているという現実があると思います。山間部においては、過疎化が進み、買物ができる商店や移動販売も減ってきており、また都市部においても、中心市街地の商店街がいわゆるシャッター通りとなり、郊外型の大型ショッピングセンターが増え、身近な買物の場所が減っています。身近な買物の場所がなくなり、遠くまで出かけなければならないことになると、特に長距離の自由な移動が困難な高齢者の方にとっては、深刻な問題となっております。
そこで、健康福祉部長にお伺いいたします。県では、このような高齢者の買物が困難な現状をどう認識されておられるのでしょうか。また、今後高齢者が安心して暮らせるよう、買物をはじめとする日常生活の支援についてどのような方向に進められるのでしょうか、お尋ねしておきます。
次に、多剤耐性菌アシネトバクターによる院内感染対策についてお伺いをいたします。
多剤耐性菌アシネトバクターに感染し、入院されていた患者が死亡していたといったニュースが、新聞やテレビ等で取り上げられているところです。アシネトバクター菌は、もともとは自然環境や住まいの湿潤な箇所から検出され、健康な人には無害な菌だと聞いておりますが、私たち県民は、専門的な部分はよくわからないわけで、帝京大学附属病院では何人もの患者が亡くなっているということを聞きますと、大変不安になります。ほとんどの抗生物質が効かないアシネトバクター菌などによる院内感染が、県内の医療機関で起こってしまっては、県民の不安が現実のものとなります。県民の多くが今回、他の都県での事例ではありますが、院内感染について心配しております。奈良県では、院内感染対策のための体制確保について調査をされていると聞いております。
そこで、医療政策部長にお尋ねをいたします。ほとんどの抗生物質が効かない多剤耐性菌アシネトバクターの院内感染により帝京大学附属病院で死亡者が出たり、インドからの帰国者から新型多剤耐性菌の感染が、獨協医科大学病院で見つかるなど、感染事案が発生していますが、本県の状況はどうなのか。
また、県内の医療機関に対して、院内感染の予防や危機管理の徹底について、どのように取り組んでいるのか、お伺いをしておきます。
次に、全国学力・学習状況調査についてお尋ねいたします。
七月三十日、平成二十二年度の全国学力・学習状況調査の結果が、文部科学省から公表されました。本調査は、平成十九年度から平成二十一年度までは全国すべての小学六年生、中学三年生を対象に実施されてきましたが、今年度は抽出調査として実施されたことを本当に残念に思っております。そもそも全国学力・学習状況調査が実施された目的は、国際的な学力調査等の結果から、子どもたちの学力低下が叫ばれる中、全国的な子どもたちの学力や学習状況を把握・分析することにより、教育施策の成果と課題を検証し、各学校での教育指導等の改善を図ることにあったと思います。県教育委員会では、これまでの本調査から明らかとなった本県の子どもたちの課題の解決に向け、さまざまな教育施策を講じてこられたと認識しております。各市町村教育委員会や学校においても、子どもたちの学力や学習状況を把握するためには、本調査は非常に有効な手だての一つであり、この調査結果を分析することにより、学校の教育活動に反映させることが重要であると考えています。とりわけ、本県の子どもたちの規範意識が低いという課題もあり、そのためにも、私はすべての学校が参加する形で全国学力・学習状況調査が実施されるべきだと考えております。
本年度調査における全国の抽出率は三〇%でしたが、本県の抽出学校数は、公立小学校九十四校、中学校七十二校、抽出率は小学校が四五・四%、中学校が六七・三%であり、国全体の抽出率に比べ、非常に高い抽出率であったとは聞いていますが、本年度の抽出調査で本県の子どもたちの課題が明らかとなり、その課題の克服につなげることができるのでしょうか。
そこで、教育長にお尋ねいたします。県教育委員会として、抽出調査となった本年度の全国学力・学習状況調査の結果をどのようにとらえ、その結果を踏まえ、どのような取り組みを進めようとしているのか、お伺いいたします。また、全学校が参加すべきと考えますが、いかがでしょうか。
最後に、奈良社会保険病院について、再度要望しておきます。
奈良社会保険病院につきましては、病床数が二百五十三を保有し、大和郡山市のみならず、周辺自治体を含めた地域の中核的な病院であり、とりわけ県内で廃止が相次ぐ産科を備え、年間五百件を超える分娩を取り扱うほか、地域の二次救急輪番、あるいは小児二次救急輪番病院として、地域医療にとって重要かつかけがえのない病院であります。一方で社会保険庁改革が進められる中、平成二十年十月以降、国が社会保険病院等を有することができなくなり、それまでの社会保険庁からRFO、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構に出資・移管され、新たな譲渡先が検討されることとなりました。
その後、政権交代の後、RFOを引き継いで新たな受け皿として地域医療機能推進機構を設置する法案が審査未了で廃案となり、本年九月末でRFOが解散するという事態となりましたが、さきの臨時国会におきまして、与野党間で話し合いが行われ、RFOの設置期限を平成二十四年九月まで延長する法改正が行われました。また、これにあわせて、前・長妻厚生労働大臣は各社会保険病院等の病院長にあてて、社会保険病院等が地域医療における必要な役割を果たし、また医療の現場で不安や混乱が生じないよう、さまざまな取り組みを引き続き進めていく所存であるとのメッセージを送付されています。
このような状況におきまして、もし奈良社会保険病院が民間等に譲渡されることになれば、大和郡山市はもちろんのこと、奈良県全体の地域医療にも影響を及ぼし、県民の安全・安心を脅かすことにもつながりかねないと危惧しています。このようなことから、奈良社会保険病院の存続につきましては、これまで大和郡山市はもとより、県議会でも意見書を提出したほか、知事におかれましても国に対して要望をしていただいているところであります。つきましては、今回の法改正によりまして、病院存続の法的根拠がなくなるという事態は回避されましたが、奈良社会保険病院が地域医療において重要な役割を引き続き果たしていくためにも、国が責任を持って公的病院として存続させるよう、引き続き県から強く働きかけをしていただくことを要望いたします。
以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
まず、リニア中央新幹線のルートやリニア奈良駅の設置について、知事にお伺いをいたします。
昨年私は、JR東海の葛西会長の講演を拝聴する機会を得ました。葛西会長は、国鉄の分割民営化が行われた昭和六十二年四月以降、JR東海が実践してきた東海道新幹線を持続的、発展的に運営するための経営戦略や、旧国鉄債務を返済するといった社会的使命等について熱く語られておりました。また、十九世紀は鉄道の時代で、全国でも七十五万キロメートルを超える鉄道が建設されました。続く二十世紀は、航空と自動車の時代であった。そして、二十一世紀は超電導リニアが交通機関の新しいスタイルとなるだろうと語られておりました。
リニア中央新幹線につきましては、昭和四十八年十一月に、全国新幹線鉄道整備法に基づく基本計画において、奈良市付近を経由することが決定され、以来四十年近い歳月が経過しております。この間県においては、リニア中央新幹線建設促進の推進母体である奈良県期成同盟会を組織し、東京-大阪間の早期全線整備の実現やリニア奈良駅の設置に向けて鋭意努力をいただいているところであります。また、県議会においても平成元年に、リニア中央新幹線の建設促進と奈良駅設置に関する意見書を国に提出したところであります。現在国においては、交通政策審議会の場において、整備計画の決定等、次のステップに向けた審議が行われております。
知事は、本年七月に開催されたこの交通政策審議会の場で、リニアに対する考えを述べておられたところであります。中でもリニアルートや駅の位置、駅の構造等の決定に当たっては、地方公共団体の意見を適切に反映させる仕組みが必要であり、また、二千二百億円とも言われている地下駅の設置費用についても、地元の地方公共団体が全額負担するのではなく、地域の受益の範囲内の負担とすべきであるとの意見には、私としても全く同感する次第であります。JR東海では、東京-名古屋間の開業目標を平成三十九年、そして大阪までが平成五十七年と設定しており、夢のプロジェクトと思われていたリニア中央新幹線が、少しずつではありますけれども、確実に実現に近づいているなと実感すると同時に、一刻も早い全線整備と奈良駅の設置に大きな期待を寄せているところであります。
そこで、知事にお伺いします。今後、具体化が進むリニア中央新幹線について、そのルートや奈良駅の設置等についてどのようなお考えをお持ちなのか、所見をお示し願いたいと思います。
次に、中国からの観光客の誘致に向けた取り組みについてお尋ねをいたします。
沖縄県尖閣諸島の日本領海での中国の漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した事件をきっかけとして、日中関係が多少ぎくしゃくしている状況の中、アメリカや中国、オーストラリアなど二十一の国・地域が参加し、観光産業を通じた経済発展等を討議するAPEC観光大臣会合が無事開催できたことは、本当によかったと思っております。しかし、この事件に関連しては、中国企業が一万人の訪日旅行をキャンセルするなど、中国人の日本観光ブームに水を差すような出来事も起こっております。いずれ正常化するものと思いますけれども、早期に事態が好転することを期待しながら、質問に移ります。
現在、観光庁においては、訪日外国人観光客数を将来的に三千万人、その第一期として二〇一三年までに一千五百万人を目標に、外国人観光客誘致に取り組んでおられます。そのような中、ことしの七月には、富裕層に限定されていた中国人への個人観光ビザの発給要件が緩和され、対象世帯が約百六十万世帯、四百万人から、約一千六百万世帯、四千万人になり、より多くの中国人観光客の訪日が見込まれているわけであります。テレビ、新聞などのメディア関係も連日、各府県の中国人観光客誘致への取り組み状況を報道しており、最近では、日本へやってきた中国人観光客が、旅行期間中に日本国内で人間ドッグを受診し、結果が出るまでの期間に観光してもらうという、医療と観光をあわせた医療観光という新しい観光の形態も生まれているところであります。
奈良県においても、知事は平成二十年一月と十一月の二回にわたり、約五十人のミッション団を組織し、中国へトッププロモーションを展開されました。その後も、民間事業者を中心とした官民一体となったプロモーション活動を年一回程度展開されていると聞いております。また、開催中の上海国際博覧会には奈良県としても出展され、一週間で約六万二千人の来場者があり、一定の成果が出たと聞いております。一方、現在の中国人の日本での観光は、いわゆるゴールデンルートと言われる、大阪を起点として京都、富士山、箱根の温泉、東京での買物というルートが主流となっており、まだ奈良は観光地として中国人観光客の間に浸透していないように見受けられます。奈良県では、遣隋使、遣唐使の時代から、中国との交流が盛んで、特に中国から来日し、唐招提寺を建立した鑑真は、中国の教科書にも登場すると聞いております。このように、中国とのゆかりというものが奈良県にはたくさん残っています。また、中国人が特に好むと言われている温泉についても、県内には豊富に存在しております。これらの観光資源を中国人観光客の誘致に一層活用すべきではないかと考えております。
そこで、知事にお尋ねいたします。現在奈良県においては、中国人観光客誘致に対しどのような取り組みを行われているのか。また、中国人のニーズに合った仕組みづくりとか、魅力ある観光商品化のため、今後どのように展開していこうとされているのか、知事のお考えをお伺いいたします。
次に、高齢者の日常生活、とりわけ買物の支援についてお伺いいたします。
衣食住は、すべての国民が健康で文化的な生活を営む上で最低限の権利であります。衣食住の一つでも欠ける人がいると、それを保障してあげる行政の責務があります。衣食住のうち、それを満たす買物ができないと困っている高齢者が増えてきている事態が起きております。経済産業省がことしの五月に発表した報告書によりますと、全国で約六百万人の高齢者が買物難民として日常の買物が不自由になっているという結果が明らかになりました。
また、県でも昨年度、今後の高齢者福祉行政を展開する上での基礎資料とすることを目的に、高齢者の生活・介護等に関する実態調査を実施されました。その中で、六十五歳以上の高齢者の方に外出目的について聞いたところ、七〇・三%もの方が買物と答えておられます。一方、家事についての将来の不安について調べた結果を見ますと、二人に一人の五四%の方が、日常の買物に将来の不安を感じると答えておられます。高齢者の方々は、日常生活において買物が最も重要であるとともに、将来の不安も大きいということが明らかになっております。
高齢者の方に限らず、買物に対しては不安を感じるようになった要因として、身近に買物をする場所が日に日に減っているという現実があると思います。山間部においては、過疎化が進み、買物ができる商店や移動販売も減ってきており、また都市部においても、中心市街地の商店街がいわゆるシャッター通りとなり、郊外型の大型ショッピングセンターが増え、身近な買物の場所が減っています。身近な買物の場所がなくなり、遠くまで出かけなければならないことになると、特に長距離の自由な移動が困難な高齢者の方にとっては、深刻な問題となっております。
そこで、健康福祉部長にお伺いいたします。県では、このような高齢者の買物が困難な現状をどう認識されておられるのでしょうか。また、今後高齢者が安心して暮らせるよう、買物をはじめとする日常生活の支援についてどのような方向に進められるのでしょうか、お尋ねしておきます。
次に、多剤耐性菌アシネトバクターによる院内感染対策についてお伺いをいたします。
多剤耐性菌アシネトバクターに感染し、入院されていた患者が死亡していたといったニュースが、新聞やテレビ等で取り上げられているところです。アシネトバクター菌は、もともとは自然環境や住まいの湿潤な箇所から検出され、健康な人には無害な菌だと聞いておりますが、私たち県民は、専門的な部分はよくわからないわけで、帝京大学附属病院では何人もの患者が亡くなっているということを聞きますと、大変不安になります。ほとんどの抗生物質が効かないアシネトバクター菌などによる院内感染が、県内の医療機関で起こってしまっては、県民の不安が現実のものとなります。県民の多くが今回、他の都県での事例ではありますが、院内感染について心配しております。奈良県では、院内感染対策のための体制確保について調査をされていると聞いております。
そこで、医療政策部長にお尋ねをいたします。ほとんどの抗生物質が効かない多剤耐性菌アシネトバクターの院内感染により帝京大学附属病院で死亡者が出たり、インドからの帰国者から新型多剤耐性菌の感染が、獨協医科大学病院で見つかるなど、感染事案が発生していますが、本県の状況はどうなのか。
また、県内の医療機関に対して、院内感染の予防や危機管理の徹底について、どのように取り組んでいるのか、お伺いをしておきます。
次に、全国学力・学習状況調査についてお尋ねいたします。
七月三十日、平成二十二年度の全国学力・学習状況調査の結果が、文部科学省から公表されました。本調査は、平成十九年度から平成二十一年度までは全国すべての小学六年生、中学三年生を対象に実施されてきましたが、今年度は抽出調査として実施されたことを本当に残念に思っております。そもそも全国学力・学習状況調査が実施された目的は、国際的な学力調査等の結果から、子どもたちの学力低下が叫ばれる中、全国的な子どもたちの学力や学習状況を把握・分析することにより、教育施策の成果と課題を検証し、各学校での教育指導等の改善を図ることにあったと思います。県教育委員会では、これまでの本調査から明らかとなった本県の子どもたちの課題の解決に向け、さまざまな教育施策を講じてこられたと認識しております。各市町村教育委員会や学校においても、子どもたちの学力や学習状況を把握するためには、本調査は非常に有効な手だての一つであり、この調査結果を分析することにより、学校の教育活動に反映させることが重要であると考えています。とりわけ、本県の子どもたちの規範意識が低いという課題もあり、そのためにも、私はすべての学校が参加する形で全国学力・学習状況調査が実施されるべきだと考えております。
本年度調査における全国の抽出率は三〇%でしたが、本県の抽出学校数は、公立小学校九十四校、中学校七十二校、抽出率は小学校が四五・四%、中学校が六七・三%であり、国全体の抽出率に比べ、非常に高い抽出率であったとは聞いていますが、本年度の抽出調査で本県の子どもたちの課題が明らかとなり、その課題の克服につなげることができるのでしょうか。
そこで、教育長にお尋ねいたします。県教育委員会として、抽出調査となった本年度の全国学力・学習状況調査の結果をどのようにとらえ、その結果を踏まえ、どのような取り組みを進めようとしているのか、お伺いいたします。また、全学校が参加すべきと考えますが、いかがでしょうか。
最後に、奈良社会保険病院について、再度要望しておきます。
奈良社会保険病院につきましては、病床数が二百五十三を保有し、大和郡山市のみならず、周辺自治体を含めた地域の中核的な病院であり、とりわけ県内で廃止が相次ぐ産科を備え、年間五百件を超える分娩を取り扱うほか、地域の二次救急輪番、あるいは小児二次救急輪番病院として、地域医療にとって重要かつかけがえのない病院であります。一方で社会保険庁改革が進められる中、平成二十年十月以降、国が社会保険病院等を有することができなくなり、それまでの社会保険庁からRFO、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構に出資・移管され、新たな譲渡先が検討されることとなりました。
その後、政権交代の後、RFOを引き継いで新たな受け皿として地域医療機能推進機構を設置する法案が審査未了で廃案となり、本年九月末でRFOが解散するという事態となりましたが、さきの臨時国会におきまして、与野党間で話し合いが行われ、RFOの設置期限を平成二十四年九月まで延長する法改正が行われました。また、これにあわせて、前・長妻厚生労働大臣は各社会保険病院等の病院長にあてて、社会保険病院等が地域医療における必要な役割を果たし、また医療の現場で不安や混乱が生じないよう、さまざまな取り組みを引き続き進めていく所存であるとのメッセージを送付されています。
このような状況におきまして、もし奈良社会保険病院が民間等に譲渡されることになれば、大和郡山市はもちろんのこと、奈良県全体の地域医療にも影響を及ぼし、県民の安全・安心を脅かすことにもつながりかねないと危惧しています。このようなことから、奈良社会保険病院の存続につきましては、これまで大和郡山市はもとより、県議会でも意見書を提出したほか、知事におかれましても国に対して要望をしていただいているところであります。つきましては、今回の法改正によりまして、病院存続の法的根拠がなくなるという事態は回避されましたが、奈良社会保険病院が地域医療において重要な役割を引き続き果たしていくためにも、国が責任を持って公的病院として存続させるよう、引き続き県から強く働きかけをしていただくことを要望いたします。
以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。