議会報告ASSEMBLY REPORT
2018.07.24 カテゴリ:平成30年6月定例会 3 がん対策及びたばこ対策について
【質問(1)】
がんの早期発見のために、検診受診率をさらに向上させることが重要であると考えるが、今後、どのような取組を行っていこうと考えているのか。
【知事答弁】
健康長寿日本一を目標として掲げる本県において、がん対策は重要な施策です。
そのため「がんにならない、がんになっても安心できる奈良県」を基本理念とし、がん予防や早期発見、がん医療の充実、がんになっても希望を持って暮らせる地域共生社会をつくるための取組を行っているところです。議員ご指摘のとおり、がんの早期発見は大変重要であることから、がん検診受診率の向上は大きな課題であると考えています。
市町村の事例を調べてみたところ、受診率が高い市町村では、複数のがん検診を一度に受けられるようにすることや、集団健診を土・日曜日に設定すること、また対象者へ個別に通知すること等、受診しやすい体制を整えていることが窺えます。今年度は好事例を展開できるよう市町村での検診実施体制における課題を明らかにし、解決に向け助言していきます。
また、今年度実施する検診から、国保加入者を対象とした検診受診率が公表されることになるため、国保事務支援センターと連携した受診勧奨の取組等について検討したいと考えています。
議員お述べの個別勧奨・再勧奨に係る補助事業については、実施市町村が徐々に増え、平成29年度は22市町村が活用されました。本事業において一人一人の心に届くようなメッセージを個別に届けることで、受診率が向上する効果がありました。例えば宇陀市では、平成28年度の子宮がん検診の受診率が前年度比で約1.2倍、受診者数が262人増加しました。今年度の実施市町村は更に増加し、29市町村が事業に取り組む予定です。
また、実際にがんを発見するためには、受診率の向上だけではなく、精度の高いがん検診を行うことも重要であります。検診結果のデータ分析や、検診従事者への研修を行い、検診が正確に行われるよう精度向上についても取り組んでいきます。
【再質問】
がん対策のため、検診受診率を上げる努力をいろいろ伺った。私はがん予防推進員の養成ということがあると思う。がん予防推進員とは、がんに対する正しい知識及びがん検診の必要性に関する理解を深め、自らが率先して検診を受診するとともに、がん予防やがん検診に関する情報を家族や近所の人に提供し、がん検診を勧めるといった地域での草の根的普及啓発を推進していくことを目的に養成されているものである。
がん予防推進員は806人いるが、4市6町の合計10市町にいるだけで、19市町村にはいない状態であり、もっとふやす必要がある。人数については、宇陀市で358人、広陵町で160人と偏っている。推進員をさらに増やしていくよう積極的に進めるべきであると思うが、考えをお伺いしたい。
【知事再答弁】
本県は、いろんなタイプのがん検診受診率が低いことから、引き上げるのに躍起になってやってきました。
がん対策推進計画も未策定は本県だけであるということを10年ほど前の本会議で服部議員から聞かされ驚いた記憶があります。それ以来、がん対策を一生懸命やってきました。
ここ11年で、がんの死亡率は全国一の減少率でありますが、検診受診率は低い状態です。怖いし治らないという思いが背景にあるのかもしれません。
がんの死亡率は全国一の減少率であり、全国順位も11年前の34位から12位になりました。本県では、がんは治る率が高いということになってきました。
がん検診を受診し、早期発見すれば、治る率が何倍も高いということを県民の方々に考えていただきたいと思います。治療が高度化・拡充されてきたことから、がん検診の意味も出てきています。
検診受診率は、市町村の勧奨姿勢にも関係し、熱心に工夫されているところは、随分進んできています。
よく例に挙げることだが、御所市では、あるがんの検診受診率が一番低く、市長がその旨、市の保健師に言ったところ、保健師が腕まくりして、私が改善すると決意を述べられ、そのとおり受診率が著しく向上したということがありました。がん予防推進員の役割を御所市においては、保健師が果たされたものと思われます。
こういった市町村の工夫のパターンを調べて、横展開し、好事例をまねしてもらうように市町村に言っていきたいと思います。受診率が向上した市町村と、そうでない市町村を比較し、競争させながら上げていくという本県独特の手法をとっていきたいと思います。その手法は徴税率の向上についても著しい効果がありました。税からは、少しスタートが遅れますが、同様の手法をとって上げていきたいと思います。
【小泉】
全ての市町村において、市町村長にもがんばってもらい、がん予防推進員が設置されることが望ましい。民生委員は県内に3千人くらいいるが、それくらいの人数を養成して、地域において住民にがん検診を受けるよう言ってもらって、がん予防を推進してもらえればと思う。
【質問(2)】
本県の喫煙率は全国から見て低い現状にはあるものの、さらに禁煙を進めるための取組が必要と考えるが、どのような取組を行おうと考えているのか。
また、健康増進法の改正を受け、今後、どのような受動喫煙防止対策を進めていこうとしているのか。
【知事答弁】
喫煙はがん、心臓病、脳卒中などさまざまな生活習慣病の危険因子であり、禁煙支援や受動喫煙防止は、最近では極めて重要な取組であると考えています。
本県の喫煙率は、平成28年度の数値では、男女合計で17.1%と全国一低くなっていますが、近年下げ止まりの傾向にあり、禁煙支援の取組は、引き続き重要であると認識しています。
県における今年度の新たな取組としては、特に女性の喫煙率が低下していないことから、母子保健事業の場などを活用して「女性のための禁煙スタートアップ講習会」を実施するよう市町村に働きかけているところです。
また、各保健所において、管内市町村のたばこ対策について、分析・評価を行い、市町村に対して喫煙率の減少に向けた助言・支援を行っていきます。
そのほか、昨年度に引き続き、インターネットにより禁煙支援の専門家の助言を受けることができるプログラムを県民へ提供したり、禁煙支援に協力いただける薬局を登録・公表し、県民の方々が相談しやすい場を提供するといった、禁煙支援の取組を行います。
受動喫煙防止対策については、議員お述べの、受動喫煙を受けた機会のある県民の割合が高いという調査結果を重く受けとめています。まず、県庁舎において受動喫煙の防止に取り組むほか、健康増進法の改正案が成立すれば、県内事業所に法改正の内容を周知するとともに、事業所が対策を取り易くなるよう相談支援の充実を図っていきます。
【再質問】
たばこ対策について、都道府県で条例を制定しているのは、兵庫県、神奈川県であり、2020年にオリンピックを開催するということで、東京都でも、議会で審議中であるが、国の基準より厳しい条例が制定される見込みである。本県において、受動喫煙防止対策を推進するため、条例を制定することについて、知事の考えを伺いたい。
【知事再答弁】
本県の喫煙率は、全国一低いです。また自殺率も全国一低いです。また血管疾患やがんに関する指標となる野菜摂取量も全国一低いですが、これは増加させていきたいと思います。
喫煙率は下がるにこしたことはないが、全国一低く、下げ止まりの状況です。たばこを吸う人が現にいる中で、病気にならないような吸い方は難しいかもしれないが、他人に迷惑のかからないような吸い方をすることは大事です。そのようなことを考えて進めていくことを心掛けています。
条例化については、その進み方をみながら、必要性があるかどうかを判断したいと思います。